プライバシーの保護や外気を断熱することで省エネになるだけでなく、防犯や防災対策としても窓ガラスフィルムの需要は高まっています。
しかし窓ガラスにフィルムを貼るのは難しいと考えている方が多いのではないでしょうか。
たしかに正しい貼り方を分からないとシワになったり、折れ目ができたり、空気が入ったりしますので、DIYのレベルとしても高い方だと言え、難しいと思ってしまう方が多いのも納得できます。
ただし正しいやり方をマスターすれば、実はそれほど難しくはありません。
今回は窓にガラスフィルムを貼る方法を細かく解説しいきますので気軽にチャレンジしてみてください。
窓ガラスにフィルムを貼り付ける予定のご家庭が多いと思いますが、その目的とフィルムの種類をご存知でしょうか。プライバシーを守るためや防犯対策、破損防止や省エネ対策にも使われています。
最近は複数の効果を兼ね備えた窓ガラスフィルムが販売されていますので、自分の目的にあったものを間違えずに選ぶようにしましょう。
自然災害や飛来物の衝突によって窓ガラスが割れたときに、ガラスの飛散を最小限にしてくれます。ガラスにフィルムがしっかりとくっついていますので、割れた破片が飛び散ることを防いでくれます。
飛散防止用フィルムは窓ガラスだけではなく、家具に使われるガラスにも貼り付けることができます。
飛散防止用フィルムより厚くて破れにくくなっていることが特徴です。
空き巣の侵入経路のほとんどが、建物一階の人の目につきにくい窓から行われています。
侵入に5分以上時間がかかると空き巣は諦めてしまうことから、防犯用フィルムを貼り付けることで窓ガラスが割れづらくなるので、侵入するまでの時間がかかり、防犯として一定の効果がえられます。
浴室やトイレ、人通りの多い幹線道路に面した窓など、外からあまり覗かれたくない場所に使われるのが目隠し用のフィルムです。表面がすりガラスになるタイプだけではなく、柄がついていたり、しま模様になっていたりするフィルムもバリエーションとしてそろっています。
また窓をダークカラーにするスモークフィルムや、マジックミラータイプのフィルムを使い外からの視線をシャットアウトする場合もあります。このタイプは日光を遮断したり遮熱性を高めたりする効果もあります。
見た目は透明なフィルムなのですが、紫外線を99%以上カットしてくれる窓ガラスフィルムなど種類が豊富です。
人体だけでなく畳やカーペット、家具などが日焼けするのも防ぐ効果もあります。フィルムによって紫外線のカット率が違いますので、好みのカット率を選んでください。
遮熱や断熱ができるフィルムはスモークやミラータイプだけだと思いがちですが、透明なタイプでも十分に遮熱や断熱ができるフィルムがあります。室内の温度の50%以上が窓ガラスから逃げていますので、窓ガラスに遮熱や断熱対策をすることは光熱費の削減に効果的です。
窓からの眺めを損ないたくない場合は、透明なタイプの窓ガラスフィルムをお勧めします。
窓ガラスのフィルムを貼るための道具を紹介します。
特殊な道具をそろえる必要はありませんので、全てホームセンターで購入できます。窓ガラスフィルムは非常にデリケートな素材でできており、表面に傷がつきやすく破けてしまう場合がありますので、できるだけ良い道具を使うようにしましょう。
ホームセンターや100円ショップで売っているプラスチックタイプの霧吹きを用意します。
水と中性洗剤を混ぜた洗剤溶液を入れて使いますが、清掃から貼り付けまでで大量に使いますので500ml程度は入る大きめのサイズを選ぶと良いでしょう。
どこのご家庭にもある食器洗い用の中性洗剤を使います。窓ガラスとフィルムの滑りが良くなるので貼りやすくなります。
薄い金属でできている巻尺です。ロック機能が付いているため、引き出した状態で巻き取りを止められます。窓ガラスの寸法を測るために使うので、2m以上の寸法が測れるものを選んでください。
プラスチックタイプで板状の定規を用意します。できれば1mのものと15~20cmのものを2種類を用意してください。1mの定規は窓ガラスフィルムを切り出すときに使い、15~20cmの定規は仕上げ用として使います。
カッターの刃の状態によって仕上げの良し悪しが決まります。刃の先端が摩耗していると、フィルムが裂けてしまったりシワが寄ったりします。何度も刃の先端を折って使いますので、替え刃はできるだけ多く準備してください。
窓ガラスの表面の汚れをかき取るときに使います。
窓ガラスとフィルムの間の水分や空気を抜くために使います。
フィルムに付属している場合もあったり定規で代用できなくはありませんが、素材が固すぎてフィルムの表面に傷をつけてしまう可能性があるので、できるだけ専用のものを準備してください。
ガラスの表面の予備清掃や水分をふき取るために使います。
フィルムと窓ガラスの間に繊維が残ると仕上がりが悪くなるので、ガラス用のマイクロファイバークロスなどの繊維が残らないものを使用してください。
プロが窓ガラスフィルムを貼るときは、2人一組で貼る場合が一般的です。ですから最初は誰かに手伝ってもらいながら貼ることをオススメします。
ただしちょっとした工夫をすれば1人で貼ることもできますので、この記事を参考にトライしてみてください。
まずはフィルムを貼り付ける窓ガラスの寸法を確かめましょう。コンベックスメジャーを使って、ゴム枠の端から端までの寸法を測ります。
窓ガラスのサイズより2~3cmほど大きい寸法でカットします。多少カットが雑になっても、仕上げで端をキレイにカットするのであまり細かくキレイにせずとも大丈夫です。
カットしなくてもよいフィルムの端側をサッシの金具側(画像の赤線部分)に合わせるので、そのつもりでカット寸法を決めてください。
サッシの金具側にロールの端を合わせる理由は、金具が邪魔になって仕上げのカットができないからです。カットするときはしわや折り目やキズをつけないように注意しましょう。
段ボールなどを下に敷いて、床を傷つけないように注意してください。
水100mlに対して2~3ml(1-2滴)の中性洗剤を入れて洗剤溶液を作ります。多すぎると泡立ってしまいますので、入れすぎに注意してください。
ガラスの表面のクリーニングや貼り付けに大量に使いますので、できるだけ多めに作り置きしましょう。
混ぜ合わせる手間を省くため、霧吹きの中で混ぜ合わせても構いません。
まずは濡れたウエスでガラスの表面を拭き、次に窓ガラスの表面に大量の洗剤溶液を吹き付けます。
窓ガラスの表面についた汚れや繊維くずを、洗剤溶液と一緒にゴムベラでかき取ってください。
ガラスの表面にゴミが残っていると、浮いてしまっている部分が出てしまったり、キレイに貼れませんのでしっかり取り除きます。
※室内であれば、洗浄溶液が床に垂れてしまうので、ビニールシートなどを敷いて床が濡れないようにしてください。
フィルムを貼り付ける前に、窓ガラスの表面に滴り落ちるぐらい大量に洗剤溶液を吹き付けます。
・1人で貼る場合
洗剤溶液を吹き付けたガラス面にフィルム側を仮で貼り付けて、洗剤溶液をフィルム吹き付けながら台紙を剥がしてください。
※ホコリがついたり、汚れたりしないようにフィルムにはたっぷり洗浄液を吹きつけます
台紙を剥がしおわったらフィルムを裏返して窓に貼り付けて仮止めしてください。
・2人で貼る場合
1人がフィルムを持って、もう1人が台紙をはがしながらフィルムに洗剤溶液を吹き付けましょう。
台紙をはがし終わったら、フィルム表面にゴミが付かないように注意しながら軽く貼り付けます。貼るときに表面を強く押しすぎると、ガラスに貼り付いて位置合わせができなくなるので注意してください。
位置合わせが終わったらフィルムを仮止めします。軽くなでるようにしてフィルムを固定してください。
ゴム枠の端から1~2mm内側に定規をあてながら、慎重に余分なフィルムをカットします。フィルムとガラスの間の空気と水を、中心から外側に向かってスキージを使って押し出します。
フィルムの表面のキズを防ぐために、洗剤溶液を吹き付けてからスキージを使いましょう。
最後に窓ガラスのゴム枠部分にたまっている水分をふき取って終わりです。
スキージに薄手のウエスを巻き付けてゴム枠部分に残った水分をふき取ります。水気が残っているとガラスとフィルムの間に水分が戻ってしまい、はがれやすくなるので完全にふき取ってください。
専門業者に頼むと工賃を支払わなければいけませんが、自分で貼り付ける場合は材料費と道具の購入費だけです。
最初は何回か失敗するかもしれませんが、手順を守って慎重に作業すれば1人で貼り付けることもできます。
そこで鏡の曇り止め用フィルムなども窓ガラスフィルムと同様の方法で貼れるので、小さいサイズで済み、濡らしても大丈夫な浴室や洗面台の鏡から1人で貼る練習することがおススメです。
慣れてきたら、大きい場所に挑戦してみてください。
屋外で作業する場合は、フィルムとガラスの間にゴミが入ったり水分が蒸発したりするのを防ぐために、できるだけ風がない曇りの日に行ってください。