庭木の枝が、いつの間にかグングン伸びて、ボーボーになってしまいました。
でも業者さんに頼むと、大金が飛んでいきます。
なんとか自分でやりたいけれど、どこをどう切ればいいのかサッパリわかりません。
それに、切ってはいけないところを切って、枯れてしまったらどうしよう?
そんなあなたに、初めての庭木剪定のポイントをお伝えしたいと思います。
ハサミを手にする前に、覚えておいてほしいことがあります。
それは、庭木は生きている、ということです。
植物独自の音を出して、木と木が会話しているという研究もあります。
葉が虫に食べられたらたくさん新芽を出そうとしたり、葉を苦くして食べられないようにしようとしたり、木が努力するんですよ。
とても健気でかわいい生き物でしょう?
「それじゃあ、木の枝を切るのは、木の手足を切るようなものなの!?」
いいえ、違います。
私たちだって、髪が伸びれば美容室へ行くし、ツメが伸びれば切ったりしますよね。
それと同じようなものです。
庭木だって、伸びすぎた枝はかっこよくカットしてほしいし、あらぬ方向へ伸びた枝は、他の枝とケンカしたりするから切ってほしいと思っているんです。
犬や猫が、トリマーさんにお手入れをしてもらうのと同じようなものです。
間違って
では、庭木の剪定にはどんなものを用意すればいいでしょうか?
お宅の庭木が、どれくらいの大きさで、何本くらい植わっているかにもよりますが、とりあえずは、使い古しのキッチンばさみでいいですよ。
「えっ、キッチンばさみ!?しかも、使い古し?」
そうです。
古いキッチンばさみって、枝を切るのに結構使えるんです。
新しいキッチンばさみはなぜか切りにくいので、古いのを選定用にしてください。
初めから高い剪定ばさみを買う必要はありません。
道に面した境界線に、長く生垣が植えられているなら、大きな刈込ばさみが欲しくなるかもしれませんし、太い枝を切るには剪定用ののこぎりが必要になってきます。
でも、
「これ以上は大変だから、やっぱり業者さんに頼もう」 となったら、高い道具が無駄になりますからね。
ですので、自分でやってみて、
「どうしてもあの道具が必要だ!」 と思ってからでも遅くはありません。
庭木は逃げませんから。
買うときは、本当に必要なものを見極めて買ってください。
それから、作業をするときは軍手をはめてください。
隠れた毛虫やトゲなどから、手を守ることができます。
私はこれに日除け帽をかぶり、マスクもします。
パチンと枝を切った衝撃で、何かが鼻に飛び込んだり、枯れ葉が髪に付いたりするんです。
枯れ葉ならいいですけど、もし虫だったら…!
帽子やマスクも、着けた方が安心ですよ。
さて、あなたの切りたい庭木は、以前人の手が入って特定の形に刈り込まれた木ですか?
それとも、森からそのまま連れてきたような自然な枝ぶりの木でしょうか?
決まった形や高さに刈り込まれた木は、飛び出してきた枝をちょこちょこと切って、形をキープしてあげます。
伸びた髪を切りそろえてあげるイメージです。
でも、こまめに切ることができなくて、全体的に10㎝以上も伸びてしまった場合は?
みんな忙しいですから、このパターンの人が大半ですよね。
こまめに刈り取る必要のある木は、大抵は刈り込みに強く、新芽がよく出る種類の木が使われています。
だから、元の長さまでしっかり刈り込んでしまっても大丈夫ですよ。
こんな風に、広い範囲を均等に刈り込む木がいくつもあるなら、刈込ばさみを買うのがいい ですね。
チョキチョキ切りそろえて、形はきれいになったけど、植木屋さんが切ったのと何か違う?
カットはできたけどトリートメントやブローができてないみたいな?
プロの丁寧な仕事との違いは、そこですね。
プロは、刈り込んでむき出しになった枝を、ひとつひとつ、葉っぱの下に隠れるように切り直します。
葉の下に隠れるように切った枝から新芽が出ると、葉っぱだけが濃く茂ってきれいです。
逆に、それをしてくれない植木屋さんはプロとは言えないので、もう頼まない方がいいかも…。
仕上がりの美しさにこだわるなら、チャレンジしてみてください。
「家の木は、特定の形に刈り込んだ木じゃなくて、自然な感じの木なの。でも、突然大きくなって、びっくり!」
そんな時、自然な感じの木の枝を、同じ長さにブツブツ切るのはNGです。
せっかくのナチュラルな雰囲気が、台無しになってしまいます。
でも、お隣にはみ出したり、日当たりが悪くなるほど伸びたら、切りたいですよね。
自然な感じの木を切るときは、邪魔な枝を一本丸ごと切り取ります。
枝の根元から、まるでその枝が生えていなかったかのように切るのです。
そうすれば、全体の自然な雰囲気を、そのまま保つことができます。
「だけど、あの枝もこの枝もたくさん邪魔な枝があって、それを枝ごと全部切ったら、スカスカな木になっちゃう!?」
大丈夫ですよ。
枝がスカスカになるということは、日当たりがよくなるということです。
来年は、美しい枝葉がたくさん出てきます。
そうやって何年かお手入れしていてると、木はどんどん太くなり、太い枝からさらにどんどん枝が出て、次第に手に負えなくなってきます。
そこで必要なのが、強剪定です。
強剪定とは、大きくなり過ぎた木を小さく仕立て直すために、太い枝を短く切る作業です。
切り口が大きくなるので、菌が侵入しやすく、木への負担が大きくなります。
だから、普通の剪定より注意が必要です。
例えば、木は生きているので、5㎝以上の太い枝を切るときは、枝に日本酒をかけて精抜きをします。
精抜きとは、魂を抜くことです。
切りたい場所が濡れるくらいに、パシャッとかければOK。
そして、木には自分で傷口をふさぐ力があります。
でも、切り口が大きいとなかなかふさぐことができません。
ですから、太い枝を切ったあとには、園芸用の保護剤を塗るのが理想的です。
木炭を切り口にこすりつけて、代用することもできます。
木の種類によっても注意が必要です。
「桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿」という言葉はご存じですか。
これは桜は幹や枝を切るとその部分が腐りやすいが、梅は余計な枝を切らないと翌年花が咲かなくなるという違いがあるという意味です。
木の種類によってお手入れ方法が違います。
花の咲く木は、花芽のついた枝を切ると、花が咲かなくなってしまいます。
花を楽しむ木は、花が咲き終わった後、来年の花芽が育つ前に剪定するのがいいですよ。
強剪定をするときは、翌年の花はあきらめる覚悟で切りましょう。
冬に緑の葉が残る木は、葉に栄養が蓄えられています。
剪定で葉を全部落としてしまうと、冬を乗り切る栄養が無くなって枯れてしまいます。
だから、葉っぱが残るように切ります。
冬に葉を落とす木は、幹や根に栄養を蓄えているので、思い切って切っても大丈夫です。
太い枝を切るのはとても大変!
重いので、落ちる場所の安全もしっかり確保してくださいね。
フィンランドでは、のこぎりの柄で木をコンコンと叩き、木の精霊に、切ることを知らせるそうです。
熟練の植木職人さんは、木がどこを切ってほしいか分かるといいます。
私も、ここは切るべきと思う枝は切りやすく、自分の都合で無理矢理切る枝は、切りにくく感じます。
あなたの庭木も、どうぞ可愛がってくださいね。