普段からエアコンを使っている人たちの中には「エアコンから出る風がかび臭い」、「内部にカビが繁殖して黒くなってしまった」などの悩み方もいらっしゃるでしょう。
汚れがひどくなくてもカビを予防したい。クリーニングを依頼したら防カビコートをオプションとしておすすめされたという人もいるのではないでしょうか。
そこで注目すべきは、防カビコートの種類やその違いです。今回は、エアコンの防カビコートについて詳しく解説します。
目次
1.防カビコートとは
2.防カビコートの種類
2-1..溶剤・抗菌剤による防カビ抗菌コート
2-2.銀イオンの防カビ抗菌コート
2-3.防カビコートの種類の違いは
3.家庭用の防カビコートの特長と注意点
4.防カビコートは業者に依頼するべきか
4-1.防カビコートを実施するのは効果的
4-2.防カビコートを実施しない業者が想定する具体的な事例
まとめ
1.防カビコートとは
防カビコートには「溶剤・抗菌剤(アルカリ剤)」、「銀イオン抗菌」など2種類が知られています。まずは防カビコートの特徴や種類について紹介しましょう。
防カビコートはエアコンの熱交換器やフィン周辺などにカビ発生や繁殖の防止を目的に専用の薬液を噴射してコーティングすることです。
一般的に、アルカリ性洗剤を使い洗浄した後、エアコン内部を乾燥させて防カビコートの作業をします。
防カビコートの役割は、数週間から数年間のカビの繁殖を抑えることにあります。エアコンに繁殖するカビは数千種を超えることが確認されていて、臭いやアレルゲンの一因として「事前に予防すべき」という認識が高まっています。
予防に使われる防カビコートそれぞれの性能・使用条件が異なります。そして、単純な防カビ効果だけではありません。ここからは2種類ある防カビコートの特徴を説明しましょう。
2.防カビコートの種類
2-1..溶剤・抗菌剤による防カビ抗菌コート
防カビと抗菌を目的としたコーティングのことです。これによりカビの繁殖や菌の嫌な臭いを防げます。
溶剤の分解能や抗菌剤の抗菌作用がメインで、ただの防カビだけではなく、抗菌も同時に行うため、ホコリや汚れから付着したカビや細菌の増加を防ぎます。
・業者に良く使われる防カビ抗菌コート
横浜油脂工業(リンダ)が提供する弱アルカリ性の「防カビ抗菌コートPLUS(プラス)」や「防カビ抗菌コート 高耐久」などです。
防カビ抗菌コート剤として、プロの業者では広く利用されています。ホームセンターや通販などでも少し値は張りますが販売されています。成分は主にグリコール系溶剤や抗菌剤です。
2-2.銀イオンの防カビ抗菌コート
銀の金属イオンの性能を使い、内部の細菌構造を破壊したり、カビに対抗する作用がある薬剤を利用してコーティングするのが特徴です。
・銀イオン抗菌水
殺菌作用が非常に強く、ヌメリを防ぐために一般家庭のお掃除道具でも使われています。家庭用では、塗布するのではなく薬剤を使用した製品を設置する商品も販売されているのです。加湿器などにはこの銀イオン抗菌水がよく使われるでしょう。
・ハイブリッド抗菌コート
銀イオン抗菌水だけでなく、「スーパープラチナコーティング(ハイブリッド抗菌コート)」など、ナノサイズのシルバーやプラチナの銀イオンを利用して防カビの性能を高めたタイプです。
・防カビチタンコート
防カビに優れたチタンの性質を利用した薬剤でコーティングする方法です。水酸化ラジカルの作用でカビや菌、汚れだけでなく、有害物質を分解します。
この防カビチタンコートとして、クリーニン業者の1つである「おそうじ本舗」が提供する「オールACチタンコート」というオプションコースが代表的です。
2-3.防カビコートの種類の違いは
防カビコートの種類は薬液の成分に違いがあります。抗菌剤の効果で防カビするのか、あるいは、銀イオンの性質を利用するのかは、製品のコンセプトや使用目的によるところが大きいのです。
銀イオンの抗菌は、たくさんの種類のカビを抑えられる高い効果が得られます。業者によってどの種類の製品を防カビコートに使っているかが異なるでしょう。その上で、基本的に防カビコートの種類を選ぶことはできません。
個人がエアコンクリーニングの防カビオプションを利用するときは、事前に防カビコートの薬液の詳細を問い合わせるのが無難です。
3.家庭用の防カビコートの特長と注意点
防カビコートを家庭で個人として実施する場合、防カビコートの2種類を知っておきましょう。
身近なスーパーや通販などでスプレー式の防カビ剤が売られています。
一般家庭の利用を前提に取り扱いやすいアルコールなど溶剤(防カビ剤)タイプや銀イオンタイプの2つが挙げられます。
特に自宅の壁掛けエアコンでは本体フィンに直接噴射するタイプがあります。これは、エアコンのフィンに対して防カビを目的に界面活性剤や防カビを含有したスプレーです。
ただ家庭で使用する際は使用時の注意点(電源を抜く・換気等)だけでなく、防カビ剤を過信しすぎないことも大切です。
防カビコートは一度塗布すると永久に効果を発揮するわけではなく、家庭用では2・3ヶ月~半年持てば良いほうです。防カビコート剤が落ちて、むしろカビの原因になってしまうこともあるくらいです。
プロの業者では、十分に洗浄を行い、乾燥させた後に防カビコートをします。
それに対し、すべてのパーツを分解して取り外し、内部を洗浄するエアコンの本格クリーニングは、個人で行うには難しい面があります。
したがって、家庭用の防カビスプレーを塗布することは、定期的なエアコンクリーニングと比べると、気休め程度でしかありません。
さらに、防カビスプレーを精密機器であるエアコン内部に直接かけることで、故障するなど、手軽に防カビコートができる分、気をつけなければなりません。
4.防カビコートは業者に依頼するべきか
エアコンの洗浄後に防カビコートを施すクリーニング業者があります。
最近では、洗浄剤などに防カビコートの効果が付加されていたり、製品として販売されているものもあるので、自宅のエアコンに自主的に防カビコートをする人も増えてきました。
性能や品質を考えると自宅で手軽にできる防カビコートには限界があります。利用の仕方も適切にしなければならず、防カビコートに対応する業者に任せたほうが確実でしょう。
4-1.防カビコートを実施するのは効果的
業者の一部では、防カビコートをオプション扱いにしており、追加(有料・無料)で依頼できます。カビは環境次第ではすぐに繁殖してしまいますので、吹き出し口などカビ汚れ目立つところには実施した方がいいでしょう。
一方で、オプションを実施していない業者もいて、防カビコートの対応は分かれています。理由は、防カビコートが業者によって有効ではない(あまり効果がない)と判断される事があるためです。
4-2.防カビコートを実施しない業者が想定する具体的な事例
防カビコートを実施しない業者は以下の理由でオプションに加えていなかったり、クリーニングに必須としていなかったりします。
- 長期間効果を発揮するものではない
- エアコンに余計なコーティングをして故障させてしまう
- 全体に塗布するのが難しい(エアコン性能のバランスを狂わせる)
実際に、エアコンのメーカー専門の業者に依頼しない防カビコートの実施や洗浄は、故障やトラブルの原因としてよく知られています。
特に防カビコートの対象として、ドレンパンやアルミフィン以外にも熱交換機が含まれることに注意が必要です。
熱交換機は家の壁面や床、風呂場の浴槽などとは違い、それ自体が精密機器として扱われます。
中途半端に防カビコートを塗布すると、機能が落ちたり故障してしまうのです。そのため、正しい知識を持ったプロの方にエアコンの防カビコートは任せる必要があります。
まとめ
エアコンの防カビコートには、2種類に大きく分けた後、業者ごとに使われる製品が違います。
防カビ剤や銀イオンの成分がカビの繁殖を抑える役割を果たしているのです。赤ちゃんのいる家庭やアレルギーを持つ人は部屋のエアコンに防カビコートをプラスすることで、内部を清潔にして、短い間カビが少なくてきれいな空気を排出できるようにするのです。
反対に、定期的にクリーニングや掃除でメンテナンスする方には、防カビコートはそれほど実施する必要性は少ないでしょう。