今回のコラムは、洗剤についてのお話です。
洗剤は普段の生活に欠かせない存在で、特に食器やお料理後に使用する台所用洗剤や浴室用洗剤などは、ほぼ毎日使っていると思います。それ以外の洗剤は、と言うと普段はあまり使わず、大掃除の時期に使用するか汚れがどうしても気になって仕方がないと思った時に使用するという方も多いのではないでしょうか。ただどの洗剤を選ぶかによって、汚れ落ち方は格段に変わりますので、今回は意外と知られていない洗剤についての話をしたいと思います。
目次
1.洗剤にはどんな種類があるのか?
2.漂白剤
2-1.塩素系漂白剤
2-2.カビ取り剤
2-3.酸素系漂白剤
2-4.還元系漂白剤
3.クレンザー
4.アルカリ性洗浄剤(pH8-14)
4-1.弱アルカリ性洗浄剤(pH8-11)
4-2.強アルカリ性洗浄剤(pH12-14)
4-3.つけ置き用洗剤(浸漬(しんせき)用洗剤)
5.中性洗剤(pH6-8)
6.酸性洗剤(pH0-6)
6-1.弱酸性洗剤(pH3-6)
6-2.強酸性洗剤(ph0-3)
まとめ
1.洗剤にはどんな種類があるのか?
洗剤は汚れの種類や場所ごとに分類されていますが、ものすごく簡単に分けると【中性洗剤】・【アルカリ性洗剤】・【酸性洗剤】・【漂白剤】・【クレンザー】の5種類に分けることができます。
この5種類の洗剤で中に何が入っているか(主成分や助剤)によって、もっと細かく分類できるのですが、専門的になりすぎるのであまりにも細かいことは抜きにします。
パッケージにも細かい情報の記載がなかったりしますが、家庭用品品質表示法によって記載内容は定められているので、強力な洗剤は販売されていますが、単体で劇物になるようなほど強力なものは販売されていないのでご安心ください。
2.漂白剤
漂白剤とは、色などを取り除き白くするために用いる洗剤の総称です。
ハイターやブリーチを代表するような塩素系や洗濯の色柄物で使用する酸素系など3種類に分けることができますが、塩素系は家事に使う洗剤のなかでも特に効き目が強く、扱いには注意が必要な面もありますが、特徴さえ覚えてしまえばとっても役立つ便利アイテムでもあります。
2-1.塩素系漂白剤
キッチンハイター、ブリーチなど
主に白物の除菌や漂白に使用します。パッケージにも必ず記載されていますが酸性洗剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生するので絶対に一緒の場所で使わないでください。もし使う場合は、一方の洗剤を使った後にこれでもかというほど水で洗い流すのを2回以上繰り返してください。「混ぜるな危険」と大きく記載してありますので、確認してから使用しましょう。
また強アルカリ性のため、皮膚を溶かしてしまうので、使用時は必ずゴム手袋や浴室用スリッパを着用してから使用し、よく換気してください。素手や素足での使用はダメです
2-2.カビ取り剤
カビハイター、カビキラーなど
塩素系漂白剤(キッチンハイター)とほぼ同様の成分ですが、塩素濃度が異なります。強アルカリ性でもあるので、噴霧後10分以上放置禁止など、使用には注意が必要です。またカビに吹き付け浸透させるため、吹き付け後にブラッシングすると成分が飛び散ってしまうので、噴霧後はそのまま放置します。
※酸性洗剤との併用は危険なガスが発生するため、使用時は酸性洗剤と重ならないように段取りします。
<使えないもの>木製品/ホーロー/アルミニウム/真ちゅう/化粧鋼板壁/浴槽栓等のゴム部分/アクリル
2-3.酸素系漂白剤
ワイドハイター、オキシクリーンなど
酸素系漂白剤は粉末タイプと液体タイプに分かれ、使い方が異なります。
粉末タイプの主成分は過炭酸ナトリウムで、水やお湯に溶かすことで発生する活性酸素の酸化作用で漂白します。お湯の方が溶けやすいので、出来る限りお湯を使ってください。液体タイプに比べて漂白力が高く、お洗濯にはもちろん、お風呂掃除や食器洗い、カビ取りや除菌など様々な用途に使うことができます。
メーカーによって様々な商品が出ていますが、洗浄成分や香料など、主成分に各メーカーが独自に添加剤を加えているというだけで、用途・使用方法は大体同じです。商品名で言うとオキシクリーンやパイプクリーナー、洗濯槽クリーナーなどが酸素系漂白剤です。使ったあとは炭酸ソーダと酸素、水に分解するので生分解の必要がなく、環境にもあまり負荷をかけません。そのため、最近注目されている洗剤の一つです。
一方、液体タイプの主成分は過酸化水素で、洗濯時に漂白剤としてのみ使用されます。粉末タイプより漂白力は少し劣りますが、粉末タイプが苦手なウールやシルク製品にも使えるのが特徴です。
2-4.還元系漂白剤
ハイドロハイターなど
ハイターなどに代表される塩素系漂白剤や、洗濯で使用する酸素系漂白剤以外に「還元系漂白剤」という漂白剤がありますが、あまり聞きなれない漂白剤ではないでしょうか
「塩素系」や「酸素系」は、まとめて「酸化型漂白剤」に分類されますが、それと対になるのが「還元系漂白剤」です。
「還元系漂白剤」と「酸化型漂白剤」では、漂白する過程に違いがあります。「酸化型漂白剤」は酸化、つまり意図的に酸素と結びつけることで色素を分解するのに対し、「還元系漂白剤」は反対に酸素を奪い取るはたらきを活用して色素を分解します。塩素系漂白剤を使って黄ばみが出てしまった、白物を元に戻すために使用することもできます。
色落ちする場合があるので、白物以外に使用する場合は、対象物の材質を見極めてから使用しましょう。それ以外には、シンクなどのサビ汚れにも効果的です。
花王のハイドロハイターが、手に入りやすい還元系漂白剤です。
3.クレンザー
ジフ、ホーミングなど
界面活性剤を研磨剤に加えて、対象物を研磨剤の物理力を使い、汚れを除去する洗剤がクレンザーです
粉末タイプとクリームタイプがあります。粉末タイプは研磨剤の含有量が90%程度入っており効果が高い分、素材へ傷をつける可能性が高く、クリームタイプは含有用が低い分、素材へ傷をつける可能性が低くなっています。どちらを使用するか迷った場合は、先に安全性の高いクリームタイプから使用しましょう。
使用方法としては、ゴム手袋をしてその手に研磨剤を少量とって、手で対象物を擦ると効果的に汚れを取ることができます。まずは、クリームクレンザーを使って蛇口を擦ってみると効果を実感できます。
<使えないもの>漆器、木製品、金銀等の貴金属製品、塗装面、金銀等の線模様入り陶磁器/水がしみこむもの
4.アルカリ性洗浄剤(pH8-14)
アルカリ洗剤はpHの数字によって、強弱2つに分けることができます。
4-1.弱アルカリ性洗浄剤(pH8-11)
マジックリン、重曹、セスキ炭酸ソーダなど
手アカなどの軽度の油汚れやヤニの汚れなど、中性洗剤で落とし切れない汚れに対して効果的な洗剤です。界面活性剤の働きを助けるためにアルカリ剤を配合しています。アルカリ成分の働きで油・タンパク質を分解する性質上、肌がデリケートな方や長時間使用する際にはゴム手袋を着用しましょう。
<使えないもの>
家具/畳/木材/水がしみこむもの/塗装面/
<主な使い方>
布等にアルカリ性洗浄剤をとって汚れをふきとる。ひどい汚れには直接かけて5分ほどおくと効果的です。使用後はすぐに水で洗い流すか、十分水拭きする。
4-2.強アルカリ性洗浄剤(pH12-14)
アルカリ電解水、炭酸ソーダ、カビキラー
変質した油汚れやガンコな手アカを分解して落とす強力な洗剤です。塗装面では、塗装が剥離・変色する場合もありますので、使用にあたっては注意が必要です。ゴム手袋を忘れずに着用しましょう。使用後は必ず使用した箇所のすすぎを念入りに行う必要があります。
<使えないもの>家具/畳/木材/石材/水がしみこむもの/塗装面/アルミ、銅、真鍮、錫、鉛などの金属
4-3.つけ置き用洗剤(浸漬(しんせき)用洗剤)
ワイドマジックリン、オキシクリーン
アルカリ性洗浄剤の一種ですが、酸素系漂白剤の一種でもあります。シロッコファンやレンジフードフィルター、五徳などのつけ置き洗浄に使用する洗剤です。必ず50℃以上のお湯を使用し、よくかき混ぜ完全に溶かしてから、洗浄物を入れて下さい。
※アルミ製品は5分以上のつけ置きすると、変色・変質する可能性がありますので、注意してください。
<使えないもの>鉄、銅、真鍮、亜鉛鋼鈑(腐食する)、銀食器、金線・銀線入りの食器、塗りもの、換気扇やミキサー等のモーター部、せんい製品/
油や熱等で傷んだ塗装・フッ素コートは塗装が剥げる可能性があります。
5.中性洗剤(pH6-8)
台所用洗剤、バスマジックリンなど
酸やアルカリではなく、界面活性剤のみの働きで汚れを落とします。素材を傷める心配も少なくどの素材にも安心して使える洗剤ですが、使用後は必ずよくすすぐか水拭きをして洗剤を落としましょう。浴室用洗剤はキレート剤(金属封鎖剤)が入っているため、軽度の水垢や金属石鹸(石鹸カス)に有効ですが、タイルの目地や大理石(人造大理石含む)には使用するとダメージを与える可能性あります。
6.酸性洗剤(pH0-6)
酸性洗剤もアルカリ性洗剤と同様にpHによって強弱2つに分かれます。
6-1.弱酸性洗剤(pH3-6)
クエン酸、ティンクルなど
軽度の水アカに効果的でキッチンのシンクや浴室用洗浄剤としてよく使われていますが、長時間使用すると人造大理石、タイルの目地材以外にシンクなどを傷めてしまいます。
※塩素系漂白剤との併用は危険なガスが発生するため、使用時は塩素系と重ならないようにしてください
<使えないもの>家具/畳/木材/水がしみこむもの/塗装面/アルミ/
6-2.強酸性洗剤(ph0-3)
サンポールなど
強アルカリ性洗剤は主にトイレ用洗剤として使用されています。アルカリ性洗剤同様強力なので使用の際には十分注意が必要です。直接皮膚に触れると皮膚が化学熱傷をおこしますので、ゴム手袋の着用が必須です。スプレーを使用すると、目や器官に入る恐れがあるので、対象箇所には塗布して使用します。
<使えないもの>家具/畳/木材/水がしみこむもの/樹脂/金属/石材/
まとめ
お掃除はただでさえ大変な作業になります。そのためどうしても後回しにしがちになってしまうという方もいらっしゃるでしょう。ただ汚れは放置すればするほど悪化して頑固になってしまいます。この記事を参考に、汚れを見極め適切な洗剤を使用することで効率よく汚れを落とし、出来る限り楽に掃除をしてください。